経済学の杜(ミラー)

公務員試験・外交官・国税専門官・中小企業診断士・不動産鑑定士などの経済学の試験対策情報を提供します。

実際の数字と、ネット上の数字の乖離

 クリス・アンダーソンの名著『フリー』が登場した2009年、ネット上にある「評価」が現物の貨幣以上の利得を生み出すことが書かれました。
http://www.honyaclub.com/shop/g/g12653358/
 しかし、現在ではtwitterやFBのフォロワーやyoutubeの登録、高評価数などがお金で取引されるようになったり、あたかも売れているように見せかけたり等、ネット上にある『評価』の信用がここ数年で極めて薄くなりました。

 また一方では、商品のマーケティングをネットで業者のカウントを購入したり、匿名を悪用し、一生懸命ステマをする業者もいますが、こういう人たちがターゲットにしている情報弱者スマホ時代の若年層の情報識別能力が高いために、現在ではかえって逆効果になっているはずです。

 テレビがまったく若年層に人気がなくなったのも、番組製作者が視聴者の興味を持っていることを完全に把握していないばかりか、情報量の正確性もスピードも視聴者に追いつけない状況なのでしょう。

 ソシャゲのダウンロード数も1人で複数人分を行ったりしてカウントを稼ぐようなことをしていたりしているところもありますが、最近、驚いたことはロボットまでが参加するようになり(米国の私のチームの応募者が調べてみるとロボットであったが、経験値自体は本物だった。)、ネット上で信用できる範囲というのは実はかなり縮小されていると感じています。

 ソシャゲを経験すればわかるはずですが、ネットによって、世の中にはいかに自己顕示欲のためだけにお金を使う人が多いのか、いかに企業は課金勢力が強力なのか、いかにパクリ商品が多いのか、いかに人は無責任で信用できないのか、丸投げ、他力本願、頓挫、足の引っ張りあい、他人の成果を横取り、など若い時代に人間の醜さを直視できたことは今後の人生に役立つはずです。

 高齢者層に支配されたネットは老朽化が急速に進んでいます。

 こうした状況もあって、いかに自分の足で情報を取りにいくかが大きなポイントになっている現状です。
 私自身も外国人向けのサイトではできるだけ直接インタビューするようにしていて、彼らの多くは到底日本人には気が付かないところでつまづいています。

変わりゆく水道橋

水道橋は今ではホテルや大学、オフィス街へと変貌していますが、90年代までは資格試験用の予備校が乱立していました。
通りにはびっくりするくらいの受験生が歩いていて、飲食店も大繁盛していました。


90年代、
 1教室に300人以上収容できるスクール形式の建物が多く、その教室に受講生で満員になるのが当たり前だった時代です。

 今では考えられないと思いますが、300人の教室で効率的な講義ができるのか?と言えば、300人のデメリットよりも実はメリットの方が大きく、母数があることによる進化や情報量は大きかったのです。(インターネットが普及していなかったにもかかわらず、300人の口コミの方が正確な最短距離を歩める情報が流通できた。)
 水道橋の名物は、大原4号館でした。私もここで講義をしていましたが、当時、6階だったか喫煙所があって、休憩時間に100人くらいの受講生一度にタバコを吸うので、煙で火事だと思ったのか消防車が来たこともありました。

現在のEYEさんのビルは、この時代では大原10号館でした。隣りの住友水道橋ビルと同様に当時は最新の建物でした。
コンビニのポプラや隣のビルも当時は大原9号館、15号館だったと思います。(他の予備校も入居していたはずです。)


 その裏通りに、現在は大原予備校になっていますが、当時は東京商科学院(この時は法商学園で現在と学校法人は異なる。その一部の講座はクレアールさんが引き継いでいるはずです。)。ここでも指導していましたが、不思議な場所でした。
 94年までこれらの校舎で簿記論、財表がメインの講師でしたが、ここから経済学へと変貌します。
 この時、1回でいいから代講で経済学を指導してほしいという要望があって、教壇に立ったところ大うけして、1000人単位で受講生も集まりました。

サイトの検索キーワードを調べたら、

 社会科学全体に言えると思いますが、やはり大学や研究機関の「系譜」というものが明確にあるものですね。
 最近、大学図書館で見つけた経済学の本を読んでいると著者が誰かなんて見なくても判別できる、やはり慶応の系譜はカラーが強いと感じます。現在の経済学の指導カリキュラムは荒憲次郎氏ら一橋大学で構築されたものが多いはずですが、それをコンパクトにして運営したのは慶応大学の貢献度が高く、試験に対応できる形にまで縮小させたのは、80年代ー90年代に慶応系であった大原や反骨精神が強かったTACの活躍によるものが大きかったはずです。
(当時の予備校講師の多くは今でも大学で教鞭をとっています。予備校は大学院生にとって良いバイト先だったかもしれませんね。今でも会うことがありますが、向こうは「先生!」と言ってくれるのですが、彼らの多くは結構、位が高い教授になっています。)

先月の当方のサイトの検索キーワードは、経済、慶応、公務員試験という順序でアクセスされていて、やはり、経済は慶応なのかと感じました。
「らくらく」を出版した週刊住宅の経営者は、出版時に三田会の幹事をされていました。

経済学というのは、10ページも読めば、その系譜がわかるものです。
例えば、私はマクロ経済学のテキストでは総需要、総供給を、





と右肩にD,Sを付しますが、これはどのような系譜、指導を受けてきた者なのかを暗示させています。実際に教員によって表示の仕方は全く異なります。
 45度線分析にしても、「らくらく」は輸入されたマクロ経済学を受験経済学用に加工されたものであって。それが正解!言うわけではなく、実際に経済学者はそれぞれの全員が異なったアプローチをしています。「らくらく」は短い方に優先権があるというショートサイド原理を基本として展開していますが、「セカンド・ベスト」の発想からもアプローチできます。
 
公務員試験の指導以外では、2種類の財を、





X1財、X2財としています。公務員試験ではX財、Y財が一般的なので、この部分だけは作り変えています。
最近、ようやく公務員試験でもX1財、X2財も登場してくるようになりました。個人的にはこちらの方が使い勝手が良いように感じます(3種類(X財、Y財、Z財)以上の財でも扱えるからです)。

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 経済学の試験(国家公務員)は、日米共通の英語での出題で良いと感じています。
帰国組や留学組にとって、経済学は受験しやすい科目なのですから。


『らくらく経済学入門』入稿完了。9月末に販売へ

9月末には販売できると思います。

 らくらく創刊から11年分の原稿と、20年間の受講生の質問のデータなどを久しぶりに見直す良い機会にもなりました。

 さすがに11年にもなると、世間では「この問題はこの公式で解くんだ!」という一種の公式のように固定化された解法テクニックになったものがありますが、実際には私と受験生の間で、「こうしたらどうか?」「それがダメならこういった解き方でも可能じゃないか?」と試行錯誤しながら、作り出したものが多くあります。
 
 言葉というのは、今では「国語」のような人工語が世界的に一般的に使われていますが、もともとは家族の中で産出されるものです。または、マルクスエンゲルスドゥルーズ=ガタリのように2人の語りから産出されるというものもあります(これは拍手の原理で、片方の手では音が出ないが、両手をたたくことに音を発する=言葉ができる)。
 そこに、人工的でなく、何かを要約したものや刷りなおしたものでもなく、本物の活き活きとしたものが存在します。

 改めて、私と受験生との間で、数学や経済学を通じて家族としての繋がりがあったということを自覚しました。
 信念を貫き通した人の記憶が刻まれています。本当にありがとうございました。

LM曲線の右シフト

 貨幣供給の増加は、LM曲線をLM1からLM2へ右にシフトさせます。
 大学図書館においてある「マクロ経済学」の教科書には、LM1からLM2なので、「右シフト」と書いてあるものや「下方シフト」と表されているものもあります。

 どちらでも正解なのですが、貨幣供給の増加と利子率の低下を関連付けるのであれば下方シフトの方がしっくりするという人もいるはずです。

 しかし、公務員試験や資格試験などで「右シフト」を多く採用してきた背景には、LM曲線という貨幣市場の需給一致の回復が、利子率を一定を前提として、Yによって調整される(4象限法で確認)と説明するためです。

(もちろん、Yを一定として、rの調整によって需給が回復されるのであれば下方シフトになります。)

 市販の教科書に出ているとかそんな作り物ではなく、実際に日本のマクロ経済学をつくった教員たちのナマの声を聴いてきた私としては、4象限法から「右シフト」というのがイメージしやすいです。

夏休み、大学図書館での勉強法

 夏休みの間、大学図書館を利用して勉強する人も多いでしょう。人生をかけた勉強期間なのでできるだけ効率的に行きたいものです。
 
①図書館では、最初に出入り口付近の場所で勉強しよう。
最初から、集中力を高めようと人が少ない場所で勉強しようとすると、結局、誰からも見られていないのでスマホをいじってオシマイです。
 1Fで他人からジロジロ見られる場所で、本を読んだり、計算問題を解いたり、自分も少し他人を見ながら、水合わせをしていきます。
 1Fの出入り口付近の机は比較的優秀な学生が集まる傾向にあり、そこの常連のメンバーになってください。
 カップルや友人で勉強する場合は机は離しましょう。

 

②水合わせが済んでいれば、じっくり本を読む場合は他の階に移動しても良いし、音楽を聴きながらでも大丈夫なくらい安定します。安定しなければ、また1Fの出入り口付近に戻ります。

 

③おにぎりを作っていきます。学食は週1くらい、外食やコンビニもすすめません。おにぎりの安定度もすごいです。おにぎりを作る習慣をつければ、就職活動で移動中でもおにぎりで体力維持できるはずです。
 カップルでおにぎりを担当し合うのも良いでしょう。

 

④図書館で寝いときには寝てください。好きな音楽を聞いても良いし、飲み物は好きなモノを飲んでください。休憩は普段行っていない図書館の階にいき、読んだことがなかった本に触れてみてください。

 

⑤効果がないと思ったら、勉強場所を切り替えましょう。
(2時間くらいで本を1冊読める場所を見つけることも重要で、電車の中とかトイレ、風呂など本を読む以外の身体が制限されるところが良いでしょう。)

 

⑥音楽を聴く場合、いろいろなものを聴くのではなく、ある程度、固定させて繰り返した方が良いと思います。どうせ、勉強中は脳は聴いていない。

台本のない講義

 私はもともと数学を指導していたので、経済学の問題も予習などはしないで、いきなり問題を解いてみて、悩んだり、間違えたり、戸惑ったりするナマの姿を学生に見せるようにしていました。一見おどおどしていて頼りないように思えますが、自然と優秀な学生しか集まってこなくなります。

 一方で、「俺は偉いんだぞ!」と威張り散らしている講師もいます。ある一定の人には人気があるでしょう。しかし、彼らのは話を聞いても5分後には全部忘れてしまうような内容だったりします。つまり、すでに解答が用意され、手垢が付いた台本を読んでいるだけなのかもしれません。

シナリオで起承転結するテレビを見てもほとんど記憶に何も残らないので、タヌキにばかされてしまった印象と同様です。


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 「経済学」を複数の校舎で同じ講義を行う場合、当然に1回目・1順目の講義は準備不足で言葉を選んでいるので上手いとは言えませんが、2順目、3順目と同じ講義を繰り返してくると、情報量も多くなり、ほとんど台本化してくるので、とても歯切れが良い素晴らしい講義になっていきます。

 例えば、同じ講義を高田馬場→水道橋→池袋→横浜の順にやっていくと、通学範囲なので後半の方がスムーズな講義展開をしているため、高田馬場よりも池袋と後ろに流れると思われがちですが、優秀な学生ほど1番最初の歯切れの悪い、準備不足の生々しい講義の高田馬場に集中するようになります。
 そこが最も記憶の残る講義をしているのです。